日々のこと

「反射の卒業と新しい動きの始まり―髄鞘化と体の成長」




この投稿は、『子どもの成長は目に見えないところに〜Part2〜』の続きとなります。



反射とその役割




赤ちゃんの体は、驚くほど精密に成長していきます。反射から始まる動きの変化は、髄鞘化によって随意運動へと進化し、私たちの体を自由に動かせるようにしてくれます。


髄鞘化とは、神経線維を包む脂肪の層(髄鞘)が形成されるプロセスで、脳から体の運動をコントロールする際の効率が大きく向上します。(※神経がスムーズに信号を伝えるための成長過程のことを髄鞘化といい、この髄鞘化は赤ちゃんが体を動かすことで促進されます)


反射は、生まれたばかりの赤ちゃんが持つ本能的な動きで、環境に応じて体を守るための役割を果たします。例えば、モロー反射や吸啜反射などがその例です。(下記の写真からは、吸啜反射と把握反射が見られます)










これらの反射は、赤ちゃんが生存するために必要な基盤を作り、神経系の初期の発達を支えます。



髄鞘化の進行と随意運動への移行




髄鞘化が進むことで、神経信号の伝達速度が飛躍的に速くなり、筋肉の動きがより調整されていきます。これが反射から随意運動への移行を可能にします。



髄鞘化の過程で不随意筋が随意筋に変わることで、赤ちゃんは次第に意識的に体を動かせるようになり、動きが洗練されていきます。(例えば、「首が座る」→「物をつかむ」→「ハイハイ」→「歩き始める」など)




また、繰り返し体を動かすことで、神経の信号が頻繁に通るようになり、その神経回路にどんどん髄鞘が作られるわけです。(例えば、手を伸ばして物をつかむ動作を繰り返すと、その動作を司る神経回路が強化され、よりスムーズに動かせるようになります)





不随意筋と随意筋の違いについて


体の筋肉には、大きく分けて「不随意筋」「随意筋」があります。


・不随意筋
不随意筋は、自分の意志で動かすことができない筋肉のことです。たとえば、心臓を動かす筋肉や、胃腸を動かす筋肉がこれにあたります。これらの筋肉は、私たちが意識しなくても、自動的に働いてくれているので、私たちの体を健康に保つ大切な役割を果たしています。


• 随意筋
一方で、随意筋は、自分の意志で動かすことができる筋肉です。たとえば、腕や足の筋肉がこれにあたります。「歩く」「手を上げる」など、自分で動きをコントロールできる筋肉です。子どもたちが遊んだり、運動したりするときに活躍しているのが随意筋です。



<子どもの成長と筋肉の役割>
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ随意筋をうまくコントロールできません。しかし、親子のふれあいや運動を通じて、少しずつ自分で体を動かす力を育てていきます。不随意筋は、子どもたちの体を支える基盤として常に働いてくれています。



親御さんが普段何気なく目にしている子どもたちの動きも、実はこうした筋肉の成長や働きのおかげで起きているのです。こんな視点でお子さんの成長を見てみるのも楽しいかもしれません!





体の発達と感覚統合の関係





髄鞘化とともに、感覚統合能力が高まることが、体を調和させて動かす力に繋がります。



赤ちゃんや幼児の体の成長を促す活動(例:リトミック、粗大運動、バランス運動、ムーブメントなど)は、髄鞘化を助け、随意運動の発達をサポートします。





親として気をつけるべきこと





赤ちゃんの反射が卒業し、新しい動きが始まる過程を見守ることが大切です。無理に動きを促すのではなく、赤ちゃんが自然に動きたくなる環境を整えましょう。



赤ちゃんを安全な環境で自由に動かせる時間を確保し、楽しい活動を通じて筋肉を鍛えることを意識しましょう。



反射を観察しながらのスキンシップでは、下記のベビーマッサージもとても有効です。


























まとめ





髄鞘化のプロセスは、赤ちゃんが成長していく上で欠かせない要素です。反射が卒業し、意識的に体を動かす力が身につくことで、赤ちゃんの発達がさらに豊かになります。



これから寒さが本格的になります。

どうぞ暖かくしてお過ごしくださいね。




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