先日、出張リトミックで伺った幼稚園で、卒園児の子どもたちから心あたたまるメッセージをいただきました。
その中に、こんな一文がありました。
「いろいろなことお しってて すごいね」
この言葉に、私は心を打たれました。

この言葉は、ただの“褒め言葉”ではなく、
子どもが日々大人を見て、感じて、心から信頼してくれている証のように思えたのです。
子どもは本来、探究することが大好きです。
知らないことを知る喜び、気になったことをとことん調べる力。
それは本来、子どもたちが生まれながらに持っている、内なるエネルギーです。
— ガイドとしての大人の役割 —
モンテッソーリ教育では、大人がその「知りたい」「やってみたい」を
そっと支える存在であることが求められます。
特にエレメンタリー(小学生)の段階では、
“グレートストーリー(物語)”と呼ばれる大きな視点のカリキュラムの中で、
大人は「教える人」ではなく、「世界の魅力を語りかける語り手」となります。
教具の提示ひとつをとっても、ただ手順を見せるだけではなく、
その背後にある“なぜ?”や“どうして?”を引き出すような、
心のスイッチを押すような関わりが求められます。
だからこそ、子どもに「すごいね」と思ってもらえることは、
“知識を持っている”という表面的な意味だけでなく、
「この人は、私の興味を大切にしてくれる人だ」
「この人といると、世界が広がる気がする」
そんなふうに、大人自身が“魅力的な存在”であるということなのだと受けとめています。
私自身も、日々子どもたちの前に立つとき、
「今、私は“ガイド”としてふさわしい存在でいられているだろうか」
と自問することがあります。
ただ知識を伝えるのではなく、
子どもの心に火をともすような関わりができているだろうか。
— 魅力的な大人であるために —
子どもたちの「いろいろなことを知りたい!」という
まっすぐなまなざしに応えるには、
大人である私たちこそ、学びを楽しみ、
世界を面白がる感性を持ち続けていたいと思うのです。
「いろいろなことお しってて すごいね」
この言葉に恥じないように、
今日も子どもたちの前に、誠実に、そして魅力的に立っていたい。
そんなことを、静かに心に刻んだ一日でした。
