〜子どもの「自律性」を育む年末の家庭活動。手間以上の価値を!〜
日本には四季折々の行事や文化が息づいており、年末年始はその豊かさを家族でじっくり体感する絶好の機会です。「大掃除」や「おせち料理づくり」などの伝統的な活動は、子どもにとって単なるお手伝いではなく、成長を促す学びの場にもなります。
例えば、まだ小さい子どもには、タオルをたたむ、小皿に食材を分ける、飾り付けを少し手伝うなど、負担にならない「できること」を用意してあげましょう。一方、もう少し大きい年長の子どもなら、床の拭き掃除や簡単なお料理の下ごしらえを任せてみてください。(下記に、簡単に例を入れておきます)
ここで大切なのは「子どもは大人がすることがしたいのです。それは本物の活動です。」という考え方です。実際に大人が行う生活の一部こそ、子どもにとって魅力的で意味のある「本物の活動」となり、自ら取り組みたいと思うのです
こうした経験を通じて、子どもは日本の風土や伝統文化を自然と感じ取り、家族と協力する喜びを学びます。一人ひとりの年齢や特性に合わせた役割を与え、その努力や達成感を認めてほめると、さらに意欲が高まります。ぜひ、この年末年始を親子で学び合い、心豊かに過ごすためのきっかけとしてお役立てください。
《1歳~2歳:大人と一緒にできるシンプルな活動》
まだ自分でできることが少ない年齢ですが、「触れる」「運ぶ」といった単純な作業を通じて達成感を味わえます。
最初は同じ活動を隣でしてあげる。子どもがわからなくなったら、すぐにお見本を見ることができるように。
<大掃除>
• 雑巾やウエットタオルで床や壁を「拭く」。→親が仕上げればOK!
• 子どもサイズの軽いほうきでお掃除。など
<おせち作り>
• 野菜を洗う(さつまいも、にんじんなど)。
• 型抜きでにんじんを「花形」にするお手伝い。
• いくらや黒豆を小皿に移す作業。(トングやお箸など)など
◎ポイント
• 短時間で達成感を感じられるような作業を選びましょう。
• 親子で「できたね!」「助かったよ!」と褒め合う時間を大切に。
《3歳~4歳:自分で考えながらやれることを増やす》
手先が器用になり、簡単な指示を理解できるようになる年齢です。お手伝いを通じて「役に立っている」という自己肯定感を育みましょう。
<大掃除>
• 雑巾を絞って棚やテーブルを拭く。
• 軽いもの(小さなおもちゃや雑誌)を運んで片付ける。
• 窓ふきを親と一緒に行う(低い部分担当)。など
<おせち作り>
• 蒸した野菜を潰して「きんとん」のお手伝い。
• 海苔巻きを一緒に巻く。
• かまぼこを並べる、お重の詰め方を親と考える。
◎ポイント
• 「ありがとう、助かったよ」と声をかけ、達成感を高める。
• 「やってみるから見ててね」という声掛けをして、作業の工程を簡単に教えて興味を持たせる。
《5歳~6歳:自分から主体的に動ける年齢》
思考力や手先の動きがさらに発達し、簡単な指示なら自分一人でこなせるようになります。責任を持たせると達成感が大きくなります。
<大掃除>
• 窓ふきをしっかり担当(親がコツを教える)。
• 自分の部屋や遊びスペースを整理整頓する。
• 植物の葉っぱを拭いたり、お水をあげたりする。
<おせち作り>
• 包丁を使って簡単な切り方を体験(きゅうりやにんじんなど)。
• 筋取り(エビの処理)や、こんにゃくの下ごしらえ。
• 完成した料理を「美しく盛り付ける」役割。
◎ポイント
• 最初にどんな活動(お仕事)があるか紹介する。
• 子どものアイデアを聞き、「やりたい」を引き出す。
• 出来栄えをみんなで喜び合うことで自己肯定感を高める。
家族で「日本の文化」を楽しむ心を育む
お掃除やおせち作りは、日本の文化に触れ、家族の絆を深める良い機会です。「どうして大掃除をするの?」「おせち料理にはどんな意味があるの?」などの話を子どもに伝えることで、日本に生まれたことへの誇りや四季を感じる感性を育むきっかけになります。
例えば、
• 大掃除:新年を清々しい気持ちで迎える準備の一環であることを伝える。
• おせち:それぞれの料理が「健康」「幸せ」「繁栄」を願う意味があることを話す。
★寝る前の絵本に「大掃除」や「お正月」「おせち料理」を選んで読むのもおすすめです。「明日は〜をしよう!」と話しながら見通しを立てると子ども達もワクワクします。(注意:絵本を選ぶ際、子どもが小さければ小さいほど、現実社会に根付いた本物に近いイラストの絵本をお勧めします)
年末年始の準備は、お母さんにとって大変な仕事に感じられるかもしれません。子どもがお手伝いするとなると、『余計に手間がかかるのでは?』と心配になる方も多いでしょう。ですが、実は子どもが手伝うことには、手間以上の価値があります。
子どもたちは『できた!』という達成感を味わい、自信を持つことができます。また、家族の役に立つ経験を通じて、自律心や協力の大切さを自然と学んでいきます。
もちろん、完璧を目指す必要はありません!
お母さんが笑顔で見守り、『ありがとう』『助かったよ』と声をかけるだけで、子どもたちは特別な役割を果たしたと感じます。
親子で過ごすこの“特別時間”を、大切な思い出にしてみませんか?